ばあちゃん、母ちゃんのおまじないで育てられた私

 

 今朝爪を切っていていつもばあちゃんから言われた言葉を思い出した。

 私の爪はどちらかというと深爪で、切るときに少し痛みを感じる。小さい時に「爪切る時に痛いんやけど!」とばあちゃんに伝えると「 この爪の形は働きもんやから!でかなったらよく働く大人になるから安心し!」と言われ痛みを忘れ(ばあちゃんに言われたのだから間違いない!)とホッとした。

 それからは爪切りするたびに(働き者の爪の形なので働く時に爪が邪魔にならないような形だから誇らしいのだ)と自分なりに納得していた。

 母ちゃんからのおまじないの言葉は、私にとって大変な事故があった時にその威力を発揮する。

 小さい時から、兄弟姉妹4人が、かあちゃんが作る稲藁筵を、切って、端を結び、折りたたむ手伝いをしていた。私が鎌で切っていた時、茶の間のテレビ番組に気になって手元に注意がいかず鎌左手中指🖕を深く切ってしまった。血が止まらなく見ただけで驚き泣き叫んでいた。かあちゃんはどこからか、蜘蛛の巣から蜘蛛の糸を集めて来て、止血しようとしていた。あまりにもちゃんちゃんと(スピーディーに)自信満々で処置するので泣くこともやめ見ていた。 

 最後にかあちゃんはまだ、血が滲んでくる指に手をかざし「ここから、大きいお兄ちゃんになりますように!」とお祈りをし始める。何回か唱え、ポンと私の頭を優しくたたき「はいおしまい」あれだけ痛い思いをしていた私だが呆気に取られ痛みも忘れてしまう。

 いずれも、おまじないの威力が絶大、私たち兄弟姉妹がいかに、単純だったかの証の良いな話。