とおちゃん(坂井昭保)とあんちゃん(坂井誠)

 

 私の生まれた時から、身近にいるこの二人。

 昨日実家二俣にいるとおちゃんのニコニコした顔。ベッドに腰掛けながら話しかけてくる。親鸞「歎異抄」について。これまで、小学校の教師をしていた時には、学校から帰ってくると家の田んぼや山の世話など忙しくて、本など読んだこともなかったのに、最近は、古典(大きな文字でいんさつしてあるもの)などが、枕元に積んである。中でも、お釈迦様について「あんな昔にいろんな悩みをどう考えるか判るように話された。」この流れを汲む親鸞の弟子が師匠親鸞の言葉を記した歎異抄を何度も読み返し、この本を私たち子供4人にそれぞれ贈って読むように勧める。

 別れ際に、「色々あるかもしれんが、じゃまない。体に気いつけや!」と自分のことより私たち子供の健康を心配してくれる。有難いことだ。

 このあと、あんちゃんといつもお世話になっている足揉みにいく。その車中、つい5年前、高校3年の古文担任の先生の家に10人前後の同級生が集まったことを懐かしそうに話していた。

 足揉みの時間には、小さい時に母ちゃんの方の親戚が住んでいる町までバスを乗り継ぎ夏休みに尋ねたことなど県境に近い場所の事で盛り上がっていた。

 今回は、二俣までの行き帰りを私がハンドルを握ったのだが、兄弟姉妹4人で一年に一度、金沢までぐるっと一回り歩いた時に

(約20キロ)家まであと2キロくらいのところでどうしてもお腹が空き、道のそばに木になっていたリンゴを一つ黙って盗んで食べたことを兄ちゃんに話した。すると「わしゃ、友達3人とリンゴを盗んで食べることを前もって計画して、もいでいたら、見つかり大声で怒鳴られ、目一杯走って逃げた❗️」と、今でも残念そうに話していた。昨日のことの様に懐かしく喋っていた。誰もが苦い思い出があるのだと感じた。