松本亨先生と英語(Think in English!)

小学校高学年になると、私たちは、ローマ字を、習った。
 これまで日常で使われている、漢字、平仮名とは、全く違う文字で発音も1から覚えなければならない。
 やっとひと通り覚えた頃、あんちゃん、姉ちゃん達が、文字としては同じだが、発音も意味も、ローマ字とは、別の 「エイゴ」と言うものを勉強し出した。
 それもなんだか、学校での勉強の中でも、これから重要になる教科らしい。
 上ふたり(あんちゃん、姉ちゃん)ともに、故郷二俣には、塾などないし、家庭教師をつけるほど家に経済的よ余裕もないから、^専らラジオ英語講座で、勉強していた。
 中学3年間、一年毎に、基礎英語、続基礎英語、英語会話と、習う。
 そんな兄弟姉妹の勉強の仕方から、なんの、迷いもなく日曜日を除き毎日ラジオに向かった。
 その頃、高級品のテープレコーダーが家にやって来た。小学校教師で薄給のとおちゃんが、子供のためと思って買ってくれたのだと思う。
 こんな便利なものはないと使い始めたものの、録音して後から何回も聞くわと思い寝ながら聴いていると、結局、テープが溜まっていき、勉強にならない。
 やはり、生でその時、聞き逃さないとした、張り詰めた雰囲気で中学時代英語を、学ぶ。
 何箇所か、わからなくなる危機に差し掛かった。でも続けていくうちに何とか3年生になり、英語会話のテキストを開くようになる。
 衝撃、講師の、松本亨先生の発音。もちろん日本人なのに、全う英語の発音が、日本人離れしている。 
 だんだんその魅力に引き込まれる。私自身は、英語のレベルはそんなに上がっていないが、楽しさだけは全身で感じた。
 面白いと思わせる雰囲気づくりに一役買ったのは、とおちゃんの行動も大きい。
 夜遅く帰ってき「おっ、まだ勉強しとるがか?所で薬💊って、英語で、なんちゅーがか?」

 今習ったばかりの単語を、さも、ずっと前から知っているように「medicine!」得意げに話すと、薬の缶を持って来て「書いて貼っとけま!」と。家の中に外国の空間がひとつ出来た?

 続く(851文字)