長年の夢(?)中谷宇吉郎雪の科学館に私は行って来ました。「雪は天から送られた手紙である」

 なぜか、理由は判然としないが

私は郷土の偉人の中でも、中谷宇吉郎に興味を持っていた。

 彼を知る手掛かりになる雪の科学館も、金沢から行けば1時間で行けるのに今日まで伸び伸びになっていた。

 カミさんを誘うと、二つ返事。

 理由が私よりもっと深くて長い間行きたいと思っていたらしい。

 先代七九(かみさんの父)は、3男で、村松家を継ぐ立場には無かったが、長男(七九の長兄)が結核で亡くなり急にそのあとを継ぐことになった。

 その亡くなった長兄が残していた本の中に中谷宇吉郎、寺田寅彦の著作が、数多くあり、かみさんはいつか中谷にまつわるものを見てみたいと思っていたらしい。

 この機会を逃すとまた、いつかわからないと思い珍しく2人の意見が一致。

 75歳以上は大人料金の半額以下と窓口に書いてあるが、まだまだ若い?

 建物の外観が、雪の基本結晶の六角形。また、2階が受付。男性スタッフに尋ねると磯崎新の設計。

 2階付きありの部屋で1時間ごとに中谷の歴史が見られる。

 特別に入ったらすぐに始めていただいた。

 小さい時から神童の評判だったが、第四高等学校受験では、家の呉服屋の仕事を手伝っていたあまり失敗して一年浪人。

 東京に行き受験勉強し、翌年無事合格。金沢寺町で下宿。

 のちに、東大理学部物理学科を卒業するが、ここでその後の人生の師、寺田寅彦に出会う。

 寺田から、「学問は理論だけでなく、実利も伴わないと」と、教えられた。

 実生活では、初めの奥さんと数年で死別。

 また、長男も早くに亡くしている。

 雪の研究をして空から次々降ってくる雪を眺めていると、雪が降ってくると言うより、自分が雪に吸い込まれ暗い空に舞い上がって行くように感じたと回想しているが、そんなふうに思うほど研究に没収した。

 雪の科学館では、雪の結晶を実際に実験で作る実演をしたり、雪のペンダント、雪の形の折り紙などさまざまな参加型のもてなしをしていた。

 グリーンランドから持って来た60トンの石を引き詰めた中庭から木場潟を望む景色は胸の空くおもいになる。

 長年の私の夢の一つが実現して充実した一日となった。

 追記:宇吉郎の弟も学者だったが、若くして亡くなった。悲しみにも多く見舞われた人生だった。