烏の行水

 

 最近、金沢市内の銭湯をいくつか巡ることが、休みの日の過ごし方になっている。

 65歳以上に、料金の補助券がいただけるので460円が150円で町の銭湯を楽しめるのでいそいそと出かける。

 小さい頃から、かあちゃんなどから、風呂から上がるといつも「淳は烏の行水やさかいな。もうちょっとはいっとったら良いがに!」と嗜められたもの。数が数えられ始めた頃は「百数えるまで入っとろ!」など言われた。

 大きくなっても全くお湯につかっている時間は短いままで、風呂場にいる時間はせいぜい10分前後。 

 景色のいい旅館、ホテルなどでも、風呂場から望む良い景色、ゆったりしたお湯などを楽しむ時間などなかった。

 そのため、かみさんとお湯に浸かりに一緒に行くと必ず私の方が先に上がり、入り口のところで待っているのが常だ。

 しかし、ここ23回、かみさんが私を待つケースが出てきた。これも私が歳を重ね銭湯(お湯)そのものを楽しめるようになったからかもしれない。

 これからも、色々な銭湯、お風呂に浸かり、烏の行水という汚名を返上したい。