小さい時に、あんこのあるものが食べられなかったワケ!

 

 小さい時になんでも好き嫌いがなかった私が唯一敬遠していたのが饅頭などのあんこもの。

 本泉寺という古刹のすぐ前の家に育ち、何かあると、饅頭を他の家からもらったり、ばあちゃんなんかが、お寺からいただいたりしていつも饅頭が家にあった。

 そんな環境に育ち、食べるものを選んでいたらあとの3人の兄、姉、妹が食べてしまい自分の分は残らない。そのため好き嫌いしたらお腹が空いて耐えられないためなんでも美味そうに早く頂いていた。

 私の名前が「あつし()」なのでいつの頃からか、「あんころ」と揶揄われるようになった。そのせいでか、アン(あんこ)のはいったものには、嫌な思いを持つようになり手が出なくなった。

 母方の親戚のおじちゃんは、独立して饅頭屋(和菓子屋)を始めたのだが、かあちゃんに連れられて店を訪れるたびに「なんでも好きな物を取って食べいや!」と気前良くいってくれる。しかし、店にあるものはほとんど餡子が入っているお菓子。悪いと思いながらモジモジしていると母ちゃんが気を利かしすぎて2人分店頭からつまんで来たお菓子を、私にくれる。ありがた迷惑だとも言えず食べずにポケットに入れ家に持ち帰り、グチャグチャになったお菓子を見て悪いことしたと反省する。

 こんなあんことの関わりだったが、時間が経ち、私が年を重ねると甘いものが食べたくなるようになり、あんこものも食べられるように変わっていった。

 変わっていくどころか、それぞれ違うあんこを少しずつ味わうことができるようになる。全て時間が解決してくれる。

 小さい時は、敬遠したあんころが、今ではいろいろな味があることがわかり楽しんでいる。